遠い匂い
実際に薫りを放つ物体はないはずなのに、(今は浴槽の中なのに、)感じているこの匂いはなに?
そうか!記憶の中の匂いなのだ!
分かったような分からないような、匂いとともに甦る映像
そうか、これは過去の匂いなのだ
嗅覚は、昔の匂いも記憶することができるんだ!
(思い出させているのは、紛れもない私)
自分で自分を支配して、植民地にして、我が物顔で使う
正常に働こうとするものを、真正性を全うしようとするものを、自分のエゴだけでねじ曲げてしまう
感覚など容易く支配できるのだ
唯一無二の所有物を携えて、自己満足に浸る夜
虚無でもあり、幸せでもある
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